東方伝説獣 第2話 勾玉

東方伝説獣 第2話 勾玉

博麗霊夢の朝は早い。いつも、縁側でお茶を飲みながら、のんべんだらりと生活していると思われている霊夢だが、以外にも神社の運営はきちんとやっているのだ。
朝早くに起き、まずは社の雑巾がけから、境内の掃き掃除までをきちんと行っている・・・もっとも、宴会の次の日はその限りではないが。ついでに、朝の日課に修行が含まれないのも霊夢らしい。
「あぁ・・・毎朝毎朝面倒だわ・・・だれか、代わりにやってくれる人いないかしら。」
そう、ぼやきながらも境内の掃き掃除を続ける霊夢。何と言おうとも、この日課をやめるつもりはないらしい。
祭神もわからず、立地も悪いためにあまり参拝客も来ない。そんな、さびれた神社であるがなんだかんだで霊夢はこの神社に何となく愛着を感じていた。
何かを、それこそ子供の頃からずっと、何か大きくて暖かい、目に見えないものが見守ってくれいているような気がしていたから。
成長するにつれて感じにくくはなってきているものの、その何かは霊夢にとっては心地良いものだった。
たしかに、この幻想郷の基点を支えるこの神社を守るという、博麗の巫女の使命を忘れてはいない。
しかし、それを除いても、博麗霊夢はこの神社を守りたいと思っているのだ。
「さて・・・掃き掃除はこのくらいでいいかしら?」
掃き掃除を終え、霊夢は最後のに日課へと向かう。ある意味、この瞬間は霊夢にとって1日の中で一番憂鬱な時間だといってもいい。
「はぁ・・・まったく・・・なんで、家の神社はこんな辺鄙なところに立てられたのかしら・・・?」
そう、賽銭箱の確認である。
そもそも、この博麗神社は参拝客が少ないというのは言った通りだ。そのため、当たり前のことだが、お賽銭は非常に少なくなる。空っぽなんてこともざらなのだ。
たしかに、この博麗神社は立地も良くないし、祭神の御利益もはっきりしない。
そんな神社だが、これではあまりにも悲しいではないか。霊夢は、この神社を気に入ってるからこそ、そう思っていた。
「まぁ、今日も入ってないんだろうけ・・・・ど・・・・」
しかし、今日は何かが違った。いつもは空っぽで、寒々しい感覚まで受ける賽銭箱の中。その中に1つだけ、淡く輝く勾玉が入っていた。
「お賽銭・・・じゃないわよね?なにかしら・・?」
そう言って、霊夢は賽銭箱に入っていた勾玉を手に取った。
見た目は何の変哲もない勾玉である。しかし、手に取ると何か温かい感じ・・・そう、この神社から感じる物と同じような感覚が手の中に広がった。
「・・・・・」
いつもの霊夢なら、賽銭箱に入っていた勾玉くらいのものなら行きつけの店に売り飛ばして、神社の運営費の足しにしてしまうのが常だ。
しかし、今回はそうしたくなかった。いや、何故だろうか?霊夢は、この勾玉をずっと持っていたくなってしまった。この勾玉から感じるものが、とても心地よく感じたのだ、
「・・・まぁ、たまにはいいかもしれないわね。もらっておきましょう。」
そういって日課を終えた霊夢は、その勾玉をどんなアクセサリーにしようか考えながら神社の奥へとはいって行った。












「6人か・・・今回は多かったな。」
「あぁ・・・皆良い生徒だったよ。」
人里では、あの夜に還らぬ人となった、里の狩人6人の葬式が厳かに行われていた。
しかし、死体は、ない。
あの夜、人里全体に響いた声の主と、その仲間はいくつかの遺留品だけを残して、みんな消えてしまったのだ。
通常、人喰いの妖怪に襲われてしまった場合でも、被害にあった人の骨等の硬いものは残っていることが多い。しかし、今回は本当に何も残っていなかった。それでも、どうにか見つけた本当に少ししかない遺留品で今回の葬儀は行われている。
「しかし、ひどい妖怪もいたもんだな。本当に全部食っちまうなんて。」
葬式の列から少し離れたところで、白髪の少女・・・藤原妹紅は口をい開いた。その言葉には、憐れみと・・・いくばくかの悔しさが含まれているようだった。
「・・・妖怪は人を襲う。それは昔から続いてきたことだ。仕方のないことだよ・・・」
「慧音・・・」
その言葉に、葬式の列に頭を下げていた少女・・・上白沢慧音は何かに言い聞かせるように答えた。
そう、ここは滅び行く幻想が集う幻想郷。ここでは妖怪は人を襲い、人はその妖怪を退治するという自然の流れがいまだに残っていた。そのため、人里の人間が妖怪に襲われ命を落とすことは珍しいことではない。
しかし、それでも、昨日までいた人が、そばで笑っていたはずの人がいなくなるというのは、さびしいものなのだ。
「しかし、巨大な鳥型の妖怪か・・・」
慧音はそう、空を見上げながらつぶやいた。その、巨大な鳥の妖怪はもしかしたら、この瞬間にもどこかの空を飛んでいて獲物を探しているかもしれない。そして、こう考えているうちにも此処に襲いかかってくるかもしれない。
・・・なら、そうの妖怪をほ放って置くことはできない。上白沢慧音は人里の守護者だ。人里を守る義務がある。それに・・・・
「・・・妹紅。私はその妖怪を退治しに行こうと思うんだ。」
「・・・慧音ならそう言うと思ったよ。」
そう、この幻想郷では妖怪は人に退治されるものなのだ。なにより、上白沢慧音はこの人里でずっと寺子屋を営んでいる。その寺子屋に昔通っていた人を・・・生徒をひどい目にあわされて、黙っていられるような教師では慧音はないのだから。
「うし!なら、今夜から?」
「そうだな。凶暴な妖怪のようだし、早めに対処したほうがいいだろう。妹紅の言うとおり、今夜から・・・」
「その計画、少し待って頂けないかしら?」
さっそく、その巨大な鳥妖怪の退治について案を練り始めた慧音と妹紅の間に、紫色のドレスを着て、白い日傘を差し、胡散臭そうな笑みを浮かべた一人の妖怪があらわれた。












「げ!スキマ妖怪!」
「紫殿でしたか・・・先ほどの言葉の意味は?」
「言葉のとおりですわ。先の巨大な鳥の退治の計画・・・少し、待っていただけませんこと?」
紫のその言葉に、慧音は眉をひそめた。この八雲紫は、胡散臭い言動と行動をとるが、幻想郷の管理者と呼ばれるだけあって、幻想郷のバランスを崩すようなことはしないことで知られている。
しかし、今回はその巨大な鳥の妖怪はすでに人里を襲っているのだ。ならば、退治されることに問題はないはず。なぜなら、それが襲い、退治されると言う、この幻想郷のルールであり、掟であるからだ。
「でも、その鳥が妖怪ではなかったとしたら?」
「!!」
私と妹紅は顔を見合わせた。妖怪では、無い?そんな馬鹿な。この幻想郷において、人を襲うのはすべからく妖怪だ。野生の動物もいないわけではないが、その動物の対処なら当然、人里の人間はわきまえており、ましてや狩りを生業とする人間が、その動物にやられてしまうとは思えない。ならば、襲ったものは妖怪であるはずなのだ。
「けど、狩人6人だぞ?普通の鳥なんかじゃ、敵いっこないぞ?」
「そうだな。しかも、そのうちの一人は能力持ちだった。小妖怪程度でもどうにかなっただろう。」
そう、だから、その妖怪鳥を退治するのに問題はないはずだ。むしろ、ここで紫が退治を邪魔することは妖怪側にてこ入れすることになり、幻想郷のバランスを崩すことになりかねない。
「・・・・幻想を宿さずに、幻想よりも強い力を持つ。そう言う物もいるのです。」
「・・・紫殿、なにを?」
「幻想に生まれず、人に生み出され、ただその人を襲う・・・そう、あれはそう言う物なのよ。」
「・・・紫。あんた、何か知ってるな?」
紫の言葉に、妹紅が問いただそうと声をかける。しかし、紫本人はどこ吹く風で、口元を扇で隠しうっすらと笑っていた。しかし、次の瞬間には引き締めた口元を晒し、慧音と妹紅にむけてこう口を開いた。
「あの鳥は本来なら、幻想郷へは入ってこない類のものです。幻想の力も持ちません。しかし、その力は幻想を凌ぐことさえあります。・・・あなた方二人は人里では、とても大きな存在です。それを今失ってしまう可能性がある。そんな選択肢はとてもとれませんわ。」
「大きなって、別にあたしは・・・・でも、それならどうするのさ?」
「・・・今はまだ噂でしかないが、その鳥は危険な存在なのだろう?なら、早急に手を打つべきだと思うが・・・」
「ご安心を・・・この私に、少々考えがありますわ。」
そう言って、笑った紫は何とも言えない、妖艶な笑みをしていた。












―――――生物とは子を成すものだ。
―――――本来はつがいとなった個体同士でその子は成される。
―――――しかし、この、世の黒い部分を濃縮したような鳥は、その理すら通じない。
―――――あぁ、今日も、知らぬうちに悪魔たちは増えていく。
―――――増えては喰らいあい、喰らいあっては増えていく。
―――――その、遺伝子(記憶)の促すがままに。





あとがき
あいだ開けすぎですね。面目ない。久々の更新です。理由は・・・まぁ、色々あったんです。恐らく、このブログでTCG関連の記事書くこと少なくなると思います。てか、書くことが実際ないし(爆)でも、やっぱりたまには書きたいなぁ・・・(どっちだ)
と、まぁ、こんなですが、東方伝説獣第2話です。需要があるかはわかりませんが、俺が死なない限りはどうにかして書きあげようと思っています。どうか、長い目で見ていただけるとありがたいです。
・・・でも、他の小説も考えてるんだよなぁ。東方×D0とか。・・・そっちも書こうかな。これ、TCGブログだし。
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漆黒@銃剣士

Author:漆黒@銃剣士
千葉のTCGプレイヤー。最近はボードゲーマーにクラスチェンジ気味。

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